さりげない優しさ

先日、Aくんとふたりでお散歩に出かける機会が2度ありました。
出発した時点では、まだ行き先を決めていないのですが、歩いているうちに信濃国分寺駅に電車を見に行こうということになりました。
そこまでの道のりは、Aくんが、「トンネルを通ろう」「こっちから行こう」とリードしてくれます。
危なくないか、人の迷惑にならないかということは常に考えますが、そうでなければAくんの言う通りについていきます。
駅に着いたらベンチで水分補給をしながらひとやすみ。
それから時刻表を調べ、「次の電車は何分後に来る?」「どこから見たら1番かっこいいかな」と話しながら場所を決め、無事、しなの鉄道を間近で見ることができました。

別の日、またAくんとふたりでお散歩に出る機会がありました。
今回も行き先を決めずに出発です。
最初は前回と同じコースでしたが、途中から歩道橋で18号線を渡り、進路が変わりました。
最初は、18号線の方は車が多くて危なくないかな?と思いましたが、Aくんはちゃんと歩道橋や信号のある横断歩道を選んで、どんどん進んで行きます。
しばらくすると藤の花が見頃を迎えている国分寺のお寺に着きました。お寺の建物の中に白い象が見えます。
私はあっ!と思いました。
実は、その日Aくんが登所してきたとき、前回の連絡帳にあった白い像の写真を見て、「これはどこにあるんですか?」と他の職員と話していたのです。
A
くんはきっと私たちの会話を横で聞いていたのでしょう。
「ここに白い象があるんだよ」と案内してくれたわけではなく、着いてからは池の鯉や水に夢中になっていたAくんですが、なんとなく、この前みんなで行った白い象がいる国分寺へ私を案内してくれたのかな、と嬉しい気持ちになりました。
分になったら帰ろうか」とまたふたりで相談して帰路につきます。
帰り道は来た道とは別の道で、少し遠回りをして、新幹線の線路を見ながら帰ってきました。
そこでもAくんが道を決め、時々私の手を引いてリードしてくれます。
戻る時間に遅れないようにと、時計は常に気にしていましたが、遠回りをしても慌てることなく5分前にちゃんと帰ってくることができました。
A
くんのエスコート力は、なかなかのものです。
Aくんのおかげでこのあたりの道がよくわかったよ、ありがとう」とお礼を言うと、少し誇らしげにはにかんだ笑顔を見せてくれました。

たくさん歩いてよい運動になったのもありますが、Aくんのさりげない優しさが伝わってきて、身体も心も元気にになれたお散歩でした。