
六年生のA君は、先日、予防接種をしてからの登所でした。
「注射どうだった?」
「うん!すぐ終わったよ」
「痛くなかった?」
「すぐ終わったから痛くなかった」
A君は、数年前までは、注射が苦手でした。
痛みを感じることや恐怖心は、人一倍敏感なA君です。
小さい時は動かれては困るので看護師さんがA君を抑える事がよくありましたが、そうされる事で更に恐怖心が増して泣いて嫌がっていたことがあったそうです。
お医者さんには、「先生、痛くしないでください」と、自分は注射が苦手であることを言葉にして伝えてから望んだこともありました。
しかし、注射の話題にも今は平然と答えてくれるようになりました。
「大丈夫だったよ」と腕をまくり上げて針をさした所をみせてくれました。
すると、かわいいテープで留めてあることに気がつき洗面台の鏡でテープを写し出してよくみていました。
その姿を見て、以前よりは、平気にはなったけど、注射の針をさすときや終わった後も、さした部分は見ることもなく帰ってきたのだろうと思いました。
音にも過敏さがあるA君ですが、周囲がうるさいと思うと、自らイヤマフをしたり、静かに場所を変えたりするなど、イライラしてしまう前に対処する方法を学び今では、上手に回避しています。
注射に対しても何回も経験した結果、大きな不安や恐怖心が、薄らいでいったのだと思います。
現在、視野も広がり色々な事に挑戦しているA君です。
中学の体験学習にも参加しどんな活動をしてきたかお話してくれます。また、土曜日に登所し、夏祭りの企画、運営にも加わっています。
自己の特性を理解し、苦手な部分を上手に回避したり、緩和したりしていくために必要なことをA君と共に考えながら、また、工夫をしながら成長し続けるA君を応援していきます。